favicon  発酵

冷却した麦汁を、発酵容器へ移したら、麦汁の温度が使用するイーストに適した温度になっているか確認しましょう。麦汁の温度は下がっていてバクテリアが取り付きやすくなっていますので、温度計を麦汁に直接浸けて使うときは、消毒に十分注意します。発酵容器にシール温度計を貼り付けておくと、直接麦汁と接触しなくて済むのでおすすめです。麦汁の温度が、イーストの活動に適した温度よりも高い場合には、オフフレーバーが発生しやすくなりますので、きちんと冷却しておくことが大事です。 イーストを投入する時の注意点としては、麦汁の温度と、投入するイーストの温度差がなるべく無いように気をつけ、イーストが温度差によってショックを起こすことを防ぎます。イーストの温度は、麦芽と同じか、麦汁より若干低い温度であることが好ましいです。サンプルレシピで使用しているイーストの最適温度は、20~23℃です。投入するイーストについては、「イースト(酵母)」をしっかり確認して事前に準備しておきます。いよいよイーストを投入する時がやってきました。イーストの入ったボトルやフラスコの口は、ライターで炙るなどして殺菌しておきます。フタ、又はエアロックを慎重に外して、麦汁にイーストを投入し、すぐに再度フタ、又はエアロックでしっかりと栓をして麦汁が外気と触れないようにします。投入したイーストが全体に馴染むように発酵容器を少し振ってあげてください。

favicon 1次発酵と2次発酵

1次発酵は、2次発酵を行う前の発酵容器内で行う発酵の事です。イーストが麦汁の糖分と、栄養素であるアミノ酸を使って、アルコールをつくりだす工程です。同時に二酸化炭素も発生しますが、エアロックで発酵容器外に排出されますので、ビールには留まりません。 2次発酵は、1次発酵を終えたビールから、休眠状態のイースト(イーストケーキ)を分離(オリ引き)し、ビールに二酸化炭素を発生させる為に糖分(プライミングシュガー)を加え、ボトル詰めした後にボトル内で行われる発酵の事です。主にビールの炭酸となる二酸化炭素を発生させる工程です。

favicon イーストの活動サイクル

投入されたイーストは、1mlあたり5千万個になるまで増殖しながら、以下の順に活動します。それぞれの活動は順に発生しますが、各ステップが完全に終わってから次のステップに進むわけではなく、ある程度平行して進みます。

1.適応期(約12時間〜24時間)

麦汁の酸素を取り込み、イーストの増殖・発酵を促す為のエネルギーを蓄えます。

2.発酵期(3〜7日間)

呼吸によってエネルギーを得たイーストは、麦汁の中を浮遊しながら、糖分をアルコールと二酸化炭素に分解しながら増殖します。麦汁の上面にはクロイゼンと呼ばれる泡を確認することができます。クロイゼンは、麦汁のタンパク質とイーストから構成されていて、発酵容器には緑や茶色がかったカスのようなものが確認できますが、これはタンパク質やホップ、イーストなどの色ですので、問題ありません。

3.調整期(コンディショニング)(2〜3週間)

麦汁の糖分をほとんど消費すると、イーストは発酵を止め、休眠準備をしながらゆっくりと容器の底に沈殿します。イーストケーキと呼ばれる休眠状態のイーストは、目で確認できます。ほとんどのイーストは休眠状態となりますが、まだ活動しているイーストもいて、発酵期に副産物として出来た不快な匂いや味の素になる化合物を緩和させる働きがあります。

favicon 1段階発酵

イーストを投入した後は、イーストが活動しやすい温度(一般的なエールの場合、約21度~26度、サンプルでは20~23℃)と日光を遮断できる静かな場所に保管し、7~10日ほどじっくり待ちます。エアロックがポコポコしているのを見るのは発酵の活動が活発な証拠。エアロックがおとなしくなるのを待って、比重計で発酵の進み具合を確認し、発酵の終了を見極めます。エアロックがおとなしくなってから、何日かサンプルで比重を確認し、値に変化がないようでしたら、アルコールの醸成は済んでおり、ほとんどのイーストは休眠状態となり底に沈みます。しかし、イーストはアルコールを生み出したあとも、コンディショニング作業を行うべく活動していますので、最低2週間は発酵容器で寝かせておくことをおすすめします。また、比重を計る為に採取したビールは、絶対に発酵容器に戻さないようにしてください。汚染される可能性が高くなります。その代わり、飲んでしまいましょう。若ビールと呼ばれる熟成されていないビールを飲むことができるのも、ホームブルワーだけの特権です。どのようなビールに仕上がっていくかを想像しながら味わい、ゆっくり待ちましょう。

favicon 2段階発酵

もしラガービールや、アルコール度数の高いビールをつくろうとする場合、または何らかの理由で1次発酵が3週間を超えてしまう場合には、2段階発酵をすべきかどうかを考えましょう。それ以外の大抵の場合には、1段階発酵で2週間程度おけば問題ありません。ここで言う2段階発酵とは、ボトル詰め後の2次発酵とは違い、1段階発酵とは別の発酵容器に移し替え、そこで発酵させることを言います。2段階発酵をする理由は以下の通りです。

  • イーストは、アルコール醸成後も引続きゆっくりとアルコール分解とコンディショニングをしている。
  • 長期間の1段階発酵は、発酵容器の底に溜まったトゥルーブを分解し、オフフレーバーをつくり出す。
  • 1段階発酵容器の底に溜まった休眠状態のイースト(イーストケーキ)が長期間ビールに触れると、不快な匂いをビールにつける

このことから、1段階発酵容器の底に溜まったトゥルーブとイーストケーキから、ビールを分離し、2段階発酵容器に移すことで、2と3のリスクを減らし、1のコンディショニングだけを時間をかけて行うことができます。ただし、2段階発酵は汚染のリスクが高まりますので、注意が必要です。具体的な方法は以下の通りです。

  1. 洗浄・消毒した2段階発酵容器を用意する
  2. 洗浄・消毒したサイフォンを使ってトゥルーブとイーストケーキが入らないように、2段階発酵容器へビールを移す
  3. 1段階発酵と同様の条件下で3週間ほど寝かせる

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