マッシュタンとは、Mash(麦汁)をつくるための、Tun(樽・容器)のことです。つまり、麦芽を糖化する為に使用する容器や鍋の総称です。また、ロータータンとは、Lauter(ろ過)をするための、Tun(樽・容器)のことです。糖化された麦汁と、麦芽カスを分ける為に使用する容器の総称です。一般的に、麦芽の糖化とろ過は同じ容器で行われることが多い為、両方の機能を備えていることがほとんどです。ですが、呼び方としては両方の機能を備えたものとして、単にマッシュタンと呼んでいることが多いようです。以下に代表的なマッシュタンを紹介します。
スポーツやピクニックなどでよく見かけるクーラーボックスです。丸型のクーラーボックスでも、角型のクーラーボックスでも、どちらでも使用できます。一般的に、単温マッシングで使用します。写真の例では、クーラーボックスの蛇口部分をバルブに変え、底にフォルスボトムと呼ばれる上げ底のパンチングフィルタを敷いています。糖化された麦汁は、ろ過された後に煮沸鍋へと移しますが、その時にこのフィルタがあることで、麦芽カスと麦汁を分けることができます。
つまり、ロータータンの役目を果たすのです。フィルタは写真のようなパンチングフィルタの他、銅管や塩ビ管をリング状又はサークル上にしてバルブへ接続し、銅管や塩ビ管に細かい切り込みを入れてフィルタのようにする方法もあります。フィルタの目を細かくしすぎると目詰まりしてしまうので、粗めのフィルタにします。麦芽自体もフィルタの役割をしますので、細かくする必要がないのです。
マッシュタン(クーラータイプ)
ステンレス素材などの鍋型マッシュタンです。直火にかけることのできるマッシュタンで、温度調整を必要とするステップ・インフュージョン・マッシングで使用します。温度調整がきちんとできるので、ホームブルーイングにおいては理想的なマッシュタンといえます。取り扱いも簡単で長持ちしますので、これから本格的にホームブルーイングに挑戦しようと思っている方には、長い付き合いができると思います。僕もこのタイプのマッシュタンを使用して数多くのビールをつくってきてましたが、全く問題なく、愛着のわく相棒です。マッシュタン底部には、クーラーボックス型と同様に、フォルスボトムやフィルタなどでロータータンとしても機能するようにします。
マッシュタン&ロータータン
BIABでは、読んで字のごとく、「バッグの中で醸造する方法」で、メッシュ状の大きなバッグを使用する方法です。メッシュバッグは単独でマッシュタンとしての機能はありませんので、上記のマッシュタンと併用する事になります。では、BIABでの方法は何が違うのかというと、メッシュバッグの中に麦芽を入れてマッシングしますので、ろ過する際に必要なフォルスボトムやフィルタなどが必要ありません。また、上記の方法では、マッシングが終わったら次の煮沸鍋に麦汁を移す必要があるのですが、BIABでは麦汁を煮沸鍋に移す必要がありません。つまり、もし直火にかけることのできる鍋をBIABのマッシュタンとして使う場合には、マッシュタンを煮沸鍋として使用できるので、別途煮沸鍋を用意する必要がありません。その代り、スパージングの際には別途ザルなどが必要となります。
BIAB (Brew In A Bag)