1.ファーストウォートホッピング(First Wort Hopping)
First Wort Hopping (FWH)は、最初(First)の麦汁(Wort)の段階でホップを漬け込む(Hopping)ことを言います。麦汁を煮沸する前からホップを入れておくことで、麦汁とホップが接触する時間を長く取ることができます。ホップのアロマオイルは不溶性であり、水に溶け込みづらい性質をもっており、さらに揮発性なので、煮沸すると揮発してしまいます。FWHでは、ホップと麦汁の接触する時間を長くとることでホップを酸化させ、アロマオイルを溶け込ませるテクニックです。ただし、FWHで投入したホップは、長時間煮込むことになるので、その分ビールが苦くなります。その為、FWHで使用するホップは、α酸の値が低い種類のものを使うようにします。
2.苦味づけ
麦汁とホップを煮込むことにより、α酸を麦汁に溶け込ませることで苦味をつけます。苦味づけは、ビターリングと呼ばれます。一般的には、45分〜90分ほど煮込みますが、それ以上煮込んでも効果はあまり期待できないと言われています。この麦汁の煮込み時間と、ホップの種類で苦味を調整しますが、α酸の値が高いホップほど苦味がでますので、α酸の高いホップを使用すると経済的です。逆にα酸の低いホップを使用しても苦味はでますが、その分ホップの量を増やすか、煮込み時間を長くする必要があります。また、苦味づけはホップを長い時間煮込むので、ホップアロマは揮発してしまう為、アロマづけの効果はありません。
3.風味(フレーバー)づけ
ホップを20分から40分煮込むことで、α酸を麦汁に多く溶け込ませて苦くなりすぎないように、またホップアロマも揮発させすぎないようにすることで、麦汁に風味をつけます。風味づけは、フレーバーリングと呼ばれます。様々な種類のホップを使用できますが、比較的α酸の低めのホップを使用することが多いようです。また、色々なホップを組み合わせることにより、風味に深みを持たせることができます。
4.香味(アロマ)づけ
ホップを煮込みの最終段階で投入し、ホップアロマを揮発させずに麦汁に残るようにすることで、ビールに芳香をつけます。香味づけは、フィニッシング(最終仕上げ)と呼ばれます。煮込む時間は15分以下で、時にはフレームアウト(火を止めてから)時に投入することで、よりアロマを残そうとします。使用するホップは、香味づけしたいタイプのアロマホップにより様々な種類、組み合わせがあります。
5.ドライホッピング
ドライホッピングは、ビールの仕込み時ではなく、ビールの発酵が落ち着いた頃に、発酵容器に直接ホップを漬け込む方法です。こうすることで、ホップアロマを最大限に引き出すことができるのです。ホップ投入のタイミングは、イーストの投入から発酵が落ち着く1週間後くらいに、5日〜1週間前後漬け込みます。発酵が盛んなタイミング(泡がブクブクしている時)には、アルコールがまだ完全にできていないので汚染の恐れがあり、発生する二酸化炭素がアロマを放出してしまうので、必ず発酵が落ち着いてから投入します。直接ホップを投入しても問題ありませんが、ホップバッグ(ナイロンの網状の袋)を使用すると、後でホップカスをビールに入れないように簡単に取り出すことが可能です。