最初にIPAに出会ったのは、出張で訪れたNYでした。ショッピングと仕事を兼ねてBrooklyn界隈へ出かけており、たまたまBrooklyn Breweryを発見。Brooklyn Breweryでは、当時毎週金曜日にだけTasting Roomを工場内で開放していました(現在では土日も開放している模様)。そしてこの日はたまたま金曜日。他の日はスケジュールが入っていたので、この日にBrooklynを訪れることができたのはかなりラッキーでした。当時のTasting Roomでは、出来立てのビール6種類を1パイント$3で飲むことができました。

Brooklyn Breweryのビールといえば、ブルックリンラガーが有名で、マンハッタンのパブに行けば必ず置いてあるほどでしたが、日本ではまだまだマイナーな存在。しかもラガー以外を見ることは全くありませんでした。そんな中訪れた米国のクラフトビールを牽引してきたBrooklyn Breweryの工場。Tasting Roomといっても、部屋があるわけでもなく、工場の空きスペースにテープルを置いてあるだけ。醸造タンクを目の前にしながらビールを飲むことができる開放的な場所でした。

ラガー以外は飲んだことがなかったので、とりあえず6種類全てのビールに挑んだが、とりわけ強烈な印象でパンチを食らわせられたビール。それがIPAでした。正直に告白すると、今でこそ自らをHop Head(ホップがガッツリ効いたビールの愛飲者)と思っていますが、この時に飲んだたった一杯のIPA(正確に言うと少し残しました。。。)で、一日中頭がクラクラしてしまいました。

もちろん他の種類も飲んだのですが、他は味見程度にし、IPAをメインに飲んでいました。IPAは総じてアルコール度数が高くなる傾向があり、この時のIPAも度数は高めだったと記憶していますが、それでもたった一杯(残しましたが)で撃沈。当時はビールなら何杯でもいける性質だったので、なおさら衝撃を受けました。

特に味。とにかく苦い。頭が痛くなるほど苦い。嫌がらせではないかと思うほど苦い。そして香り。飲む前に鼻から入る香りで苦さが分かる香り。そして飲んでから分かるホップ独特の香り、そして麦芽の味を吹き飛ばしてしまうほどのホップの味。第一印象ははっきり言ってかなり悪い。二度と飲むかと思った。それがIPAとの最初の出会いでした。

それから数年。IPAを飲むたびに好きになり、つくるビールもIPAが多い。最初の出会いが悪く、飲むたびに美味さが分かる感じは、人生最初に飲んだビールのあの苦さを思い出す。特にIPAの味と素晴らしさを徹底的に教えてくれたのは、Sierra Nevada の「Torpedo Extra IPA」。日本でも、たまにビアフェスでも見かけるようになったのは嬉しいかぎりです。このビールを飲むと、間違いなく面白い夢をみます。もしかしたらこの感じがIPA好きにさせているのかもしれません。